アンティーク家具の店イチユウ

家具の見極め

箱物家具の作りはここで見る
コンディション
Marriages
Alterations in size
Restoration(復元)

■箱物家具の作りはここで見る

アンティークに限らず、家具の作りを見極めようとする時にどこを見ればいいのだろうか。
家具にもよるので、今回は箱物家具(箪笥など)についてのコツをあげてみよう。
見るべきものは「引出し」である。

引出しをちょいと引いてみただけではだめだ。
引き抜いてしまおう。
そして、底板、側板(がわいた)、先板、それらの接合部を見れば全体の作りが想像できるのだ。

箱物家具の見極め 引き出し各部の名称

まず、前板と側板の接合部を見る。
木口を見ればそれぞれの板がムク材か合板かが分かる。
側板の接合方法もその断面から見極めよう。

しっかり蟻組みしてあれば、丁寧で丈夫な作りといえるが、組んでいなければ簡単なダボ構造かもしれない。
ダボ構造は合理的で強度もあるが、なんといっても作るのが簡単だ。
その家具は量産品とみたほうがいい。

箱物家具の見極め 引き出しの構造、蟻組み

箱物家具の見極め 引き出しの構造、ダボ構造

底板はムク材か合板か。
ベタ底構造ならば断面で簡単に分かるが、上げ底構造の場合は表裏の木目を確認しよう。
同じ木目が出ていればムク材、違っていれば合板である。

上げ底構造でムク材を使用していたら、底板が少し動くかもしれない。
しかしこれは木の性質を良く知っているからこそ、そうなっているのであって、作りが雑なわけではないのである。木は木材になっても、家具になっても生きている。
環境に応じて伸び縮みがある。木が伸びた時の逃げはムク材には欠かせない。

箱物家具の見極め 引き出しの構造、ベタ底

箱物家具の見極め 引き出しの構造、上げ底

そして先板である。
先板は使う人がめったに見ないところなので、手を抜くのは真っ先にここなのだ。
ムク材か合板か、側板と同じ材料か、組み方はどうか。その家具の製作者の考えが如実に現れているはずだ。

最近の家具はほとんどが機械造りです。
家具職人は技術を磨き、木の性質を学び、いかに丈夫で長持ちするかを考え、家具を作ってきました。そんな家具ならば時が経つほど味わいが沸いてくるのです。

 

■コンディション

良好な状態で残っているアンティーク家具を手に入れることは徐々に困難になりつつあり、また非常に高値で取引されているのが現状である。
Fakes=偽物が造られ市場に出回る原因にもなっている。

しかし「良好でないアンティーク」の中に、正真正銘の本物が埋もれていることもあるのだ。

完全な状態ではない家具でも、プロの磨き職人や修復職人の手にかかることで、見事なまでに原状(昔の良い状態)に戻り、それはすばらしい魅力的な品に仕上がるだろうと推測されるタイプである。

高品質の家具は一般的に、粗悪な安い家具に比べ、良い状態で残っているものだ。このため修繕されれば満足のいく状態に戻すことができるのである。

二流のレストア品とスペシャリストの手によりフルレストアされた本物の家具は明らかに違うし、本物は高価である事実を再認識できるだろう。

「良いものを見る」と繰り返してきたが、「アンティークを見る眼」が養われたと感じたならば「良くないもの」を見てみるのも良いだろう。

 

■Marriages

「Marriages」という言い回しは、結婚というより結合の意味に近い。
婚礼用家具などと思ってはいけない。
別々に作られた家具を2つ、もしくは3つ組み合わせてできた家具について使われる言葉である。

大型の家具、たとえばビューローブックケースやハイボーイなどがよい例で、これらはだいたい2つか3つのパーツから成り立っている。
後でそれぞれを独立して使うこともできるように作られているのが特徴だ。

結合されるパーツは同時期、もしくはいくらか後日に作成、追加されているのだが、中には1900年以降になって作ったものを組み合わせたものも見受けられる。後で作られたパーツは古いものにあわせて色付けされ磨き上げられている。

これを見分けるのは難しい。

本来のスタイル、調和、装飾のデザイン、引き出しの細工まで含む構造、などすべての要素を調べて各パーツが正確に構成されているか検証しなくては判別できないのだ。

 

■Alterations in size

アンティーク家具のいくつかには『サイズ直し』の後を見て取ることができる。サイズ直しで、より実用的な家具になったり、また家具としての価値を高めることができたからだ。

小振りの家具は後からサイズ変更されていることが少なくないが、単にサイズを縮めるだけでなく完全に姿を変えているものさえある。

★奥行きの縮小
これはブックケース、サイドボード、サービングテーブルなどに施される。
天板を切断した切り口が「フレッシュ」だったり、引き出しが新しく作られるか、組み立て直されている。
そのため『サイズ直し』の後を見つけるのは簡単だ。

★幅の縮小
幅を縮める場合は必ず引き出しやハンドルの位置が変わってくる。
ハンドルの穴は幅が狭くなった分、当然引き出しの角に近い位置に開け直される。
鍵の位置も元の付け位置とは中心がずれるので移動しなくてはならないし、引き出しは作り直すことがほとんどであろう。

★高さの縮小
主にブックケースに見られる。
ドア部分を切り詰めて短くするのであるが、ガラス付きの扉であったりすると細工が面倒だ。
ガラス止めの格子を調整し、位置を整えなくてはならない。

いずれも注意深く観察すればすぐに看破できるだろう。

 

■ Restoration(復元)

復元はアンティーク家具の価格を決定づけるひとつの要素だ。
作品に復元(修復)部分があれば、その度合いを鑑定することは非常に重要なことになる。
以下の点を注意深く観察して復元の度合いを見極める必要がある。

・布の張り替え、シルクパネルの取り替え、革の張り替え。
・再度のつや出しに透明の塗料を上掛けする。
・格好良く見せるために正確でないハンドルを取り付ける。
・接合部分がぴったりすぎる。引き出し、枠、裏板など。
・テーブル天板、はめ込み板などのひどい反り。
・脚部、天部の取り替え。
・引き出し、はめ込み板の取り替え。
・ベニヤを張り直した全ての部位。
・再流行のガラスがはめ込まれたドア。
・ペンキ塗りの全塗り替えや柄の差し替えなど。

確実に、また忠実に復元された程度の非常によい作品は実存しているが、当然価格に反映されていて、驚くほどの高額な品になっている。

アンティークとしては不正確な復元のほうが良い仕上がりと感じられることもあるかもしれないが、そのようなものの評価は低くなることを忘れないで欲しい。

 

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