アンティーク家具の店イチユウ

アンティークと暮らす:リビング

アンティーク家具 ショールームの暖炉

ショールームの暖炉。残念ながら薪はフェイク。

欧米人と一口にいっても、アメリカとイギリスでは家に対する考え方が全く違う。
中流以上のアメリカ人にとって住まいは社会的ステータスである。そしてその最たる部屋がリビングなのだ。

リビングは来客の多い家では一種のショープレイスとなり、インテリアを通してその家の主の経済力や社会的パワーを誇示する。
アメリカのインテリア雑誌を見ていると、豪華なリビングの写真が次々と登場するが、
その完璧なレイアウトに脱帽し舌を巻くことはしばしばである。

ゴブラン織りのたっぷりとしたドレープのカーテンやグランドピアノ。
美術館にありそうな彫刻。
そしてモダンなデザインの高級家具が寸分の狂いもなく計算しつくされた配置にレイアウトされていることにはっとする。
これでは一般の素人はおいそれと手が加えられない。

通常アメリカでは、家は家具付き(フーリーファニッシュ)で完璧なセットとして売買される。家を買った段階で、プロのインテリアコーディネーターがレイアウトした家具がセットでついてくるのだ。だから、インテリアは完璧なまま、新しい住人は手間暇をかけずに新生活をスタートすることができる。

そして、
新車を買う感覚で、古い家具は捨てて、人々はより新しいデザインの家具を買い揃える。
よりゴージャスなもの、よりステイタスを感じさせるもの、より珍しい個性的なものへと人々は消費を繰り返す。

イギリスでは、手に入れた家具はカバーを張り替えたり、ニスを塗りながらいつまでも大切に使い続ける。
ケチだからとか、お金を使いたくないからではなく、好きだから持ち続けるのだ。
ちなみにイギリスの家具職人は家具をいい状態で長持ちさせる技術においても一流と言われている。
そうやって手入れを繰り返された家具は、やがて年月がたつにつれアンティークになる。

英国アンティーク家具を見ていて、ペアになっているものが多いとは感じないだろうか。また、ペア物の方が価値が高いことも多い。

日本では建物も部屋も装飾品も非対称に作られていることが少なくない。
玄関はたいてい中央ではなく左右に振られている。床の間は壁の中心ではないし、棚も違い棚になっている。

一方、英国では建物の中心に玄関をとり、左右対称に窓を割り振っている。
外観だけではない。リビングルームではマントルピースを中心に配置し、その上の置物も同じ物を一対、ペアにして飾る。
ソファの横には同じランプテーブルを両側に置き、ランプも同じ物を置く。
庭造りでも、現代のガーデニングではその傾向は弱い様だが、本来の英国ガーデニングはやはり左右対称に作られている。

英国の装飾は左右対称を基本にし、安定感を大切にしているのである。これは日本との比較論ではないし、良し悪しの話でもない。英国人の感性であり、その価値観なのである。

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